この、チェックの表紙を覚えていらっしゃる方はどれくらいいらっしゃるのでしょう。
少女レベッカ
八人のいとこ
ケレー家の人々
リンバストロの乙女
村の学校
花ざかりのローズ
少女小説・家庭小説と呼ばれ、かつて読まれていた物語を、角川文庫 マイディアストーリーとして復活させたのは、あの氷室冴子さん。
私からすれば、オルコットの作品を村岡花子さん(赤毛のアンの翻訳で有名です)が訳しているだけで、読むに値する本なのですが、古い少女小説や家庭小説は、ストーリ―もさながら、その詳細な日常茶飯事の描写にひどく心を惹かれます。
ともすれば、日常茶飯事はいくらでも手を抜くことができます。掃除だって、埃が舞うのが気にならなければ、毎日しなくても良いのですから。けれども、日常茶飯事には、心を整える不思議な力があります。日々を丁寧に営むだけで、心が強くなると感じるのは私だけでしょうか?
けれど、人間はそんなに強くない。たまにはサボりたいときもあるものです。そんな時、手に取るは少女小説や家庭小説と呼ばれるもの。便利ではない時代に、つつましやかに生きるために営んだ日常茶飯事を、ついついのぞき見したくなるのです。