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―誰かを「羨ましいな」と思ったら、ハリー・ポッターを読む②―

前回、ハリポタのお話をしてから、コメントやメッセージで、「私もハリポタ大好きです!」と皆さんに教えていただき、とっても嬉しい気持ちでいっぱいになりました。ありがとうございます。

さてさて、前回の続きです。

ロンは、ウィーズリー家7人兄妹の下から2番目です。

そんな兄妹の中でも、特に目立った存在ではなく、優秀な兄や人気者でゆかいなフレッドとジョージほどの存在感もなく、いつだってハリーの添え物のようなロン。

 

そんなロンは、物語の重要な局面を迎える4巻、【ハリー・ポッターと炎のゴブレット】で、三大魔法学校対抗試合のとある事件に置いて、その感情を爆発させます。

 

それは、ハリーに対する、やり場のない嫉妬。

 

人生で初めての仲たがいをしたハリー。初めは言われようのない嫉妬に腹をたてますが、ロンの不在に、次第にハーマイオニーには絶対に埋められない穴を感じてしまうのです。

 

ロンでなければいけない。

 

そしてこの巻から、はっきりとハーマイオニーの恋心にも、気付かざるを得ません。その相手もまた、

 

ロンでなければいけない。

 

のです。

 

けれどもロン自身は、まったくそのことに気づきません。じつは最終章の7巻でも、その嫉妬心はあらわになり、読者としては「こんなにも望まない運命に翻弄されている、痛々しいほどのハリーに、まだ嫉妬心を持ち続けていたのか!」と少し憤りを感じてしまうのも致し方ないほど。それくらいにロンは、他の2人に比べて幼いのです。

 

私も初めはそうでした。

 

けれども、何回も読み返していく中、ロンの人生に焦点を当てながら読んでみると、「そりゃ、そうなるよね!ロン」と、三本の箒でバタービールを飲みながら、彼の肩をたたきたくなるほどの人生。

 

生き残った男の子、ハリー・ポッター。

学校一の秀才、ハーマイオニー・グレンジャー。

 

そんな枕詞がつく2人に対して、ロンは「赤毛でのっぽのロン」「大家族のロン」「ウィーズリー一家の6番目」、「ハリーの友だち」と、ロン自身があらわされる言葉は、ほとんどないのです。

 

ずっと、ずっと2番目、もしくは2番目以降の人生なんです。

 

もちろん、それが悪いわけではありませんよね!けれども、ロンがそれを望んでいないとしたら、ロンは苦しいでしょう。

 

自分だって1番になってみたい。そう思っていたら、どう頑張っても2番目でしかない人生は、受け入れがたいものになってしまいますよね。

 

だから「選ばれし者」に、時には嫉妬全開で激しい感情をあらわにするのです。

 

そう、その「選ばれし者」だって、そんな人生を望んでいないにもかかわらず・・・・・・。

 

と、まだまだ長くなりそうなので、また次回!