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くしゃみのおくすり、おわけいたします

こんにちは。

 

本と暮らしの研究室を運営する、梨田莉利子です。

 

突然ですが、私、花粉症なのです。

しかも、一般的に多いとされているスギよりヒノキの方がひどく、さらにはイネ科もあるので、大体一年中くしゃみか鼻づまりか、目のかゆみと戦っております。

 

3歳で発症したのを今でも覚えているので、約37年のお付き合い。結構長い付き合いです。実はくしゃみをするたび「あぁ、コキリさんに会えたらなぁ」と思っているのですが、それもこれも、こんな魅力的な家に住んでいるキキが羨ましくて仕方ない、羨望の眼差しからです。

 

 

通りに面した門の柱には、

「くしゃみのおくすり、おわけいたします」

という木のふだがかかっていて、緑色のペンキでぬった戸が大きくあいています。そこを入ると、広い庭があって、左奥に平屋の家が見えます。庭には、大きな葉やとがった葉のいろいろ変わった草がきれいにな並べて植えてあり,あたり一面に、なにかぷんとこうばしいようなにおいがただよっています。このにおいは家の中まで続いていて、台所に置いてある大きな銅のおなべのところで一番強くにおうようです。

 

 

 

家の入り口から、なにか、どこか、違う場所へ連れて行ってもらえるようなこの冒頭部分。読むたびに、おさな心をわしづかみにされたあの瞬間へ帰ることができる。

 

毎日が、新品のまっさらで、吹く風一つ一つが歌に聞こえたあの頃。

 

戻りたいわけではないけれど、あの柔らかい心だけは持っていたくて、児童文学を読み続けるのかもしれませんね。

 

児童文学だけではなく、良い本を読んだ後は、心にスッと柔らかい風が通るような気がしませんか?ちょうど、この5月に薫る風のような。

 

 

魔女の宅急便シリーズ本篇は全部で6巻。キキの成長物語であり、最後にはお母さんになったキキに出会えます。この最終巻がまた良くて・・・・・・。

 

11歳になった双子の子どもたちは、キキと同じように「自分の事」を決める年齢に近づいてきました。ひとりは男の子でもうひとりは女の子。魔女になる資格は女の子だけに与えられています。

 

トトという男の子とニニという女の子。

それぞれに迷いながら、それぞれが賢明に生きようとしています。お母さんになった魔女のキキと、お父さんになった虫オタクとんぼさん。そして立派な魔女ネコになったジジ。それからもちろん、グーチョキパン屋のおソノさんも。それぞれがそれぞれのやり方で見守るのですが、キキがコキリさんにそっくりな物言いをするときには、思わずくすっと笑ってしまいます。

 

魔女の宅急便が大好きだけど、13歳のキキで止まっている方も多いのではないでしょうか?だとしたら勿体ない!

 

ゆるやかで、おだやかで、やわらかい物語は、ドキドキするようなスリルというよりは、日常の斜め上にある小さな出来事が綴られています。

 

これは、角野栄子さんが魔法のペンでかけた「エブリデイ・マジック」という魔法です。

※一方ハリー・ポッターや指輪物語のような大スペクタクルな魔法物語などは「ハイ・ファンタジー」と言います。私はどちらも大好き!

 

緩やかな魔法にかかるためには、キキの箒に一緒に飛び乗る覚悟が必要です。

赤いラジオをぶら下げて、満月の夜に飛び立ったキキの箒に、是非一緒に飛び乗りましょう!

 

そうそう、第6巻に「半分魔女」という言葉が出てくるのですが、私、なかなかこの言葉が気に入っています。

 

特別編の2巻【キキに出会った人びと】【キキとジジ】も発売され、魔女の宅急便シリーズは全8巻。ここはひとつ、おばあちゃんになった魔女のキキにもお会いしたいものです。

 

 

上記の写真の右上、端っこにうつっているのが、我が家の犬のジジです。保護犬なのですが、迎えて約三年。最近やっと、少しずつ勇気が出てきたようで、お外へも行きたがるし、家を自由に動き回れるようになりました。

 

また、機会があれば保護犬を迎えることについてお話ししたいなぁと思っています。

 

皆さま、素敵な一日を!

 

魔女の宅急便

角野栄子 作

林明子 絵

福音館書店 発行

 

魔女の宅急便

角野栄子 原作

宮崎駿 監督

 

徳間書店 発行