キミは「チト」という少年を知っていますか?
それは【みどりのゆび】というお話しのなかに出てくる少年で、とてもふしぎなおとこのこです。
チトは学校にいきませんでした。
というより、いけなかったんです。
学校のじゅぎょうが、とってもねむくて・・・・・・。ねむくて、ねむくて、ねむくて。
「ねむらないぞ!」とかたく決心しても、やっぱりねむくなるんですって。
学校へ行ったはじめての日、チトは0点をポケットにつめてうちへ帰りました。
そこでお父さんとお母さんは、はじめ「チトは他の子と同じじゃない」となやみます。けれどもやがて、学校でなにもおそわらないのなら、学校へ行かなくていい。と言って学校をやめさせてくれます。
そこで、ムスターシュおじさんという庭師のおじさんと、チトのお父さんが経営する工場のかみなりおじさんについて、【じっさいのこと】を学ぶようになります。
この【じっさいのこと】というのは、学校の机でやるべんきょうではなくて、「本当にそこでおこっていること」を、体験して学ぶやり方です。
そこで、チトはある分野でものすごいチカラがあることがわかるのです。
チトにはおや指をあてるだけで、植物を咲かせるチカラがあったのです。
これは、だれにでもある能力ではなくて、「みどりのゆび」という本当にとくしゅなチカラです。
そんなチト、この【じっさいのこと】を学びながら、色々なできごとに出会うのですが、そんなできごとのアレコレを、自分ひとりで考えて解決します。
チトの解決方法のおもしろいところが、どれひとつとして大人が考える正解ではないところ。
でも、ちゃんと問題は解決するんです。
わたしは、もう十分大人ですが、一年に一回はチトに会いたくて、この物語を扉をノックします。
キミが小学校3年生くらいなら、もう一人で読めるかもしれません。
もしまだ、ようちえんやほいくえんなら、お母さんかお父さんに読んでもらうといいでしょう。
学校へ行かなくたって、自分の考えさえ持っていればいいってこと、知ってくれたらうれしいです。
みどりのゆび
モーリス・ドリュオン作
安東次男訳
岩波書店発行